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 こちらに来て半年、友人と呼べる間柄の関係はまだ誰とも築いていないけれど、よく一緒に飲む飲み仲間はできた。
 彼はロビィといって、7年程ドイツに派遣されていた軍隊出身の40過ぎの黒人で、元軍人のくせに現在は教会に勤めており「アメリカじゃ聖職者の経歴が軍人だなんてあり得るのか?」との問いに「知らないけど自分は神父でもなくただの教会の所有者なだけだから」というなんだかケムに巻こうと言わんばかりの、でも微妙に納得できるような言葉を返してくる男だ。私と相棒は、彼の教会で式を挙げたのだが、そのとき彼は私らが頼んでもない写真をカメラマンを雇ってバシバシ撮りまくった挙げ句、後で売りつけようとしてきたので「こんな恥ずかしいコスチュームプレイのような私らの写真を勝手に撮って売りつけようなんてちょっとおかしい、そっちがお金払うなら引き取って処分してやってもいい」といった趣旨の断りの返答をしたら、彼はなぜかその返答を甚く気に入り「毎週日曜日の午後はたいていここで仲間と飲んでるから今度ぜひ2人でおいでよ」と強引に連絡先を渡された。結局写真は「恥ずかしくて買わないというなら、教会の壁に写真例として未来永劫さらして張り付けてやる」とロビィが勝ち誇ったようにいうのでしょうがないから数枚買った。これが貴方の商法だと思うとしてやられた感でいっぱいだ、と私のくやしい思いをロビィに伝えたときの彼の顔は憎らしいほど得意げだった。その日はこんな風にやられっぱなしだったが、最後にロビィが丸めたゴミを投げた際、たまたま私の脇にあったゴミ箱を蹴り飛ばして着地を妨げてやり、今度はこっちが大喜びしていると彼もつられたように肩を揺らしてヒャーヒャー笑いながら「日曜日来なよ、本当に待ってるから一緒に飲もう」と繰り返し言い、いつでも何に対してでも懐疑的な私はいったい何の腹づもりだろうかとも思ったが、余韻をひくようにいつまでもヒャーヒャーと笑っているロビィを見ていたらなんだかそんなことはどうでもいいような気にもなった。
 その頃は引っ越ししたてで忙しく、しばらくの間そのことはすっかり忘れていたけれど、数ヶ月ほど経ったある日曜の午後を持て余していた私らはふとロビィのことを思い出し、他にしたいことも思い浮かばなかったので、教えてもらったレストランバーへ向かった。そこは全面ガラスの吹き抜けの天井の、脇には広いテラス席もある洒落た建物の中に、自家製ビールを作るための巨大なスチール樽が室内用の植物ディスプレイに囲まれ堂々とそびえ立ち、バッフェ横の舞台では生ジャズを演奏している、オシャレローカルが集うゴージャスなところだった。客層は30代〜40代で誰も彼もがドレスアップしてきており、寂れた場末のバーを想像していた私はジーンズにTシャツ、相棒も短パンにサンダルでその時よく中に入れてもらえたものだと今でも思うが、とにかくその日その場では完全に浮いていて私は恥ずかしくてすぐにでも家に帰りたくなったのだが、相棒が「せっかく来たんだから」とロビィを探しはじめたのでしぶしぶ後ろについて行った。
 当のロビィはすかしたクリーム色のシャツの襟を立てて友人と気取って話こんでいたので「ちょっとフォーマルドレスコードなんだったら最初からそういってよ。自分だけ襟なんかたてて何気取ってるの」と見つけたなり開口一番そう文句をいったら、ようやくこっちに気づいたロビィが私たちの服装を見て、猿がシンバルを叩くおもちゃのごとく手を打ちながら大喜び、「ここは服装指定ないよ、みんなが勝手にドレスアップして来てるだけ。そんなことはともかく、ようこそ!」「いやもう来ないのかと思ってたよ、来てくれてうれしいよ」と彼は友人に私らを紹介してまわった。彼の友人は、腹黒い彼の友人とは思えない程まともなきちんとした人たちばかりのようで、どうしてこの人たちとロビィが友人どうしなのか、私には皆目見当がつかなかった。

 それから何度か彼らと飲んだが、私は未だにロビィの考えていることはさっぱり分らず、分ったことと言えば、彼は意外にもかなり頭がいいのだということと、一緒に飲めばいつでも馬鹿笑いで胃が痛くなるほど楽しいということだ。彼の頭脳は、あのあやしい教会経営などに使ってるだけではもったいない気がする。

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ロビィは昨年14歳年下の奥さんができて毎日ウホウホらしいです。
何しろ最近肌のテカリが違う。
 

テーマ:お酒全般 - ジャンル:グルメ


 運転免許の筆記試験を受けにいって来た。日本の運転免許試験と同様、トリッキーな問題ばかりがズラリと並んでいて、疑り深い性格が役に立った日。

 数ヶ月前、車で家へ向かっていたときに、たつまきに襲われた。交差点で信号を待ちながら、なんか今日は周りがぼんやり霞んで見えるなあと思っていたら、どんどん風が強くなってゆき、周りの砂がものすごい勢いで縦に巻き上がり、大急ぎで車の通気口を閉じたと同時に、目の前のフロントガラス一面が砂で埋まった。次の瞬間すべての窓が砂で覆われ車内が急に真っ暗になり、車体もガタガタ揺れ動いていて、もしかしてこのまま車ごと持ち上がっちゃうんじゃないだろうかと、呼吸をするのも忘れて震え上がっていたら、1分程してサーと砂が地面に落ちるように引いていった。交差点で止まっていた他の車は、視界がよくなったと同時に何事もなかったかのように発車。私は動揺していてすぐには発車できなかった。イオナズンで攻撃されたらこんな感じ?とぶるぶる震える手でハンドルを握りながら、砂漠で暮らす人々の精神的なたくましさに敬意を抱いた瞬間。私は港町育ちだけれど今でも海は怖いのにスゴイなみんな。
 その日以来、ちょっとでも風が強い日は、すぐに室内に入れるよう常に視界にドアが入っていないと不安でしょうがなくなり、こうやって歳をとってゆくにつれてどんどん怖れるものが増えてゆき、恐がりになり、そうこうやってゆくうちに60くらいになったら周りを怖れ畏れるもので覆い尽くされ、ビクビクしながらいったいどんな心持ちで生きてゆくことになるのだろうかと思う。心安らかに暮らしてるだろうか。

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 先日、友達にもらったハワイ土産のTシャツを着て郵便局の列にならんでいたら「ちょっとすみませんが、アナタもしかしてエアフォースですか?」とアーミー帽をかぶった50程の男に話しかけられた。ぜんぜん意味が分からずモタモタになっている私にかまわず、彼は私のTシャツについてとマーシャル島とグリーンランドについて延々と語っていた。なんだったんだろう。勧誘?
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何かわかる方教えてください。

 当時、同居人のもくちゃんは、傍から見ていてもモテまくっていたようだった。彼のターゲットである男性陣からではなく仕掛けてくるのは主に女性陣からのようで、家にいてもしょっちゅう携帯にでないもくちゃんをよく見かけていたので「友達にそんなに頻繁に理由もなく電話居留守使うヤツは刑罰に処すよ」といったら「彼女らは友達でもないし彼女たちの用件も知っているけど、一度電話にでたら強いこと言えない僕だし、あんまり期待持たせてもかわいそうだし、だからでない」と、モテる男のやさしい余裕を見せつけられ、すかした澄まし顔のもくちゃんにむかついた私は「そんなんだからいつまでたっても童貞なんだよ」といってやったら「それに今は片思いしている人がいるから」と返事が返って来た。彼の片思いしている相手というのは仕事場の上司で、その上司もゲイらしいがもうパートナーがいて一緒に暮らし始めてすでに8年経つという。「8年も同棲していたらゲイの世界では結婚しているも同じ」と彼は大きなガタイを晒しながらうじうじと悩んでいるようだった。
 ある日「どうしよう彼と約束しちゃった今日。断れなかったよ!どうしようどうしょうどうしよう!」と家に帰って来るなり大声でわめきだしたので、いったい何の話かと聞いてみたら、その片思いの彼の方ももくちゃんに以前から興味を持っており、今晩食事に誘われたので了承してしまったというのだ。ぎりぎりまで行くべきかどうか悩んでいたもくちゃんだったが、職場の上司だしどんな結末になっても決着つけるべき、とぼそぼそ呪文のごとく唱えながら結局、乳首が見えそうにスケスケのブラックのシースルーに着替えて出かけて行った。
 深夜に帰宅したもくちゃんの顔色は暗く沈んでおり、次の日、何度もなる携帯電話にも送られてくるSMSにも見向きもせず、とうとう業を煮やして夜11時頃訪ねて来た男(おそらくその上司)にも居留守を使い、昨晩何があったのかうっすらと悟った私は、彼の純粋さと不遇さにあまりに苛立って訳もなくエスタ(いじられ猫)に八つ当たり。以前、私が失恋して沈んでいたときにもくちゃんは花束を買って来てくれたので、今度は私が花束を買って来てあげよう、と思いながら就寝。
 
 数週間経って「今すごくヤリたい気分でいっぱいなんだけど、M川は?」と聞いて来たもくちゃんに、私はその日は疲れていたけど元気を取り戻しつつある彼を無下には出来ず「じゃ男狩りに行こうか?」と二人してお酒をあおり、夜のクラブへと出かけて行った。
 そしてクラブのバルコニー席に座り「このムラムラ度100%越えな欲求不満のねっとりとした視線を目の前を通り過ぎる男たちに送りながらその反応を楽しむ」という地味なプレイを2人して堪能。どちらのムラムラ光線がより強力かを競っていたのだが、結局むなしくもいつものごとく2人とも収穫がなかったどころか、通り過ぎてゆく男たちからは、不気味なものを見るかのような視線、哀れむような視線を投げかけられただけだった。あんまりにがっかりしたので、その残念な気持ちを表す気の抜けたへろへろ踊りを二人で開発、そしてその後ダンスフロアでそのへろへろ踊りを10分間程披露して帰宅。

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テーマ:旅記録 - ジャンル:旅行


 DJTが仕事用に作っていたプロモーション用のセレクトミックスCD、私があんまりにもその最初の曲が好きだと連発するものだから、その曲は、私が何か失敗をするたびにバックで流されるテーマソングとなった。好きな曲で元気づけてあげたいというやさしい願いが込められたDJTの思いやりあふれる行為だったが、失恋してはバックで流され、料理が失敗してはバックで流され、仕事で失敗してはバックで流され、とそんな思い出で固められているので、曲自体にあまりいいイメージはない。が、聞くとその他もろもろ当時の様子が瞬時によみがえり、懐かしさに噎せ返りそうになる。その曲はResの、They say vision。古い曲だけれど、私にとっては、思い出マジックがかかっているのか今聞いても充分にせつない。当時の思い出ソングと言えばあとErykah BaduのDidn't Cha Knowもそう。この2曲ともが大好きという方は、私と音楽の好みがほぼ完全近いほどマッチすると思われるので、ぜひメールをください。

 今、私が住んでいる地域の人口の3割ほどはメキシコ系。そのためほとんどの食料品店にメキシコ料理関係の食材が豊富に揃っており、たとえばサルサソースなどは10種類以上並んでいて、優柔不断な私はいったいどれを選んでいいのか終始延々と棚の前でウロウロするはめになる。食べたことはおろかそれがいったい何であるのかすら分らないスペイン語のみで表記された食材も、一般の大型スーパーに普通に陳列されている。
 先日、近所のスーパーへ行ったときのこと。おそらく10代のメキシコ系若者2人が仲良く一緒に買い物をしていた。今日何にする?と片方が片方に話しかけながらたまたま近くに陳列されてあった缶詰を指差し「ベイクドビーンズ、うまいよね」「うまいよねほんと、コレコレ、このブランドのがうまいんだよ」といいながら7種類程のブランドの中から何の迷いもなく一つを手に取り、同じものをもうあと3缶程カートに入れてレジへ向かっていった。あなただったら、ここでこのシチュエーションを素通りできますか?私にはムリ。自分にとっては未知の食材、その食材に生まれたときから親しんできた若い彼らの素直な嗜好が向かう先をうっかりこんなタイミングで知らされてしまっては、それを自分も試してみたいという自然に沸いた欲求に抗うことは非常に困難。そもそも抗わなきゃいけない理由も見当たらなかったので、当然のように1缶買って帰宅。

不思議な味。
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ところでベイクドビーンズってメキシコ料理なんですか?
 

テーマ:きょうのご飯 - ジャンル:グルメ


同じ質問をされることが多いので、プロフィール代わりに答えてみました。

ウェブログユーザー(ブロガー)に100の質問(出典
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